このページは2000年に書いたレポートを、ほぼそのまま掲載しています。
現在と少々環境・状況が違う部分もありますが、基本的な保険の考え方は時代が変わっても不変と思います。
自動車を持つものにとって今は自動車保険に加入するのは当たり前となっています。
では、それはなぜですか?人を轢いてしまったらそりゃ大変です。
対物事故も最近は高額賠償となってきました。自分の車だって保険で修理したい、
こんな理由でしょうか?
でも、これは個人のレベルの話。個人で何千万も補償出来ませんし、
被害者が補償を受けられないのも大変です。
しかし、企業は個人と違い万一の場合、ある程度自己負担が可能になります。
その企業の年間経常利益によってどこまで保険に頼るのかを検討するべきです。
場合によっては対人賠償だけを加入し、対物賠償や車両損害事故は利益の中で
十分カバー出来るのかもしれません。
無尽蔵にお金があれば保険なんて必要ありませんよね。
でも個人ではそうはいかないのでしっかりと自動車保険に加入しなければなりません。
しかし、個人と比べ体力のある企業では経営の観点から保険料と補償のバランスを
考えます。
所有台数が多くなってくると企業にとっても自動車保険料もバカにはなりません。
年間500万円の保険料なら10年で5000万円、20年では1億円になってしまいます。その間、仮に保険で1000万円を使っても残り9000万円は本当に掛け捨てとなって
しまいます。
これだけ稼ぐとしたらそりゃー大変ですよね。
どんなに優良企業でも保険料(損金処理)をムダなものとは考えてはいなくても、
常に自分の企業にとってジャストフィットしてなおかつ合理性があり、さらに今までより
安い保険を探し求めているのではないでしょうか?
ある企業を想定しましょう。
この会社は優良企業で利益が1億円出ていたとします。
社有車は軽自動車・小型乗用が殆どで50台とします。
対人・対物・搭傷・車両保険に加入しており年間保険料500万円を払っています。
従業員への安全運転指導は行き届いているので年間の事故件数は5件以内、
しかも社有車が廃車になるような事故は3年に1件あるかどうかです。
車両保険に加入している車の保険金額は100万円以下の車が殆どでした。
そこで、この会社の車両保険を外してしまったらどうなるでしょうか?
おそらくこの企業の保険料は年間150万〜200万円安くなるのではないかと
思われます。
仮に1台がスクラップになったとしてその損害が100万円としても1億円の利益が
出ているこの会社にとっては、その年の利益が9,900万円に変わるだけのことです。
最悪50台全てがスクラップになったとしても5,000万円ですから十分利益の中から
その損害を吸収することが可能です。
だけど、現実に全てが1年間にスクラップになるなんてないでしょうしね。
年間5件の事故、3年に1台スクラップ、事故のうち半分が過失有りの事故で
当方過失割合の平均50%、車両損害額平均20万円
とした場合3年間でいくら節約できるかというと
※ 保険料節約分150万円×3年=450万円
※ 車両保険をやめることによる事故の際の自己負担額は年5件×3年=15件のうち
1件が全損(スクラップ)、14件の半分が50%過失で20万円損害だから(100万円
(スクラップ)×50%)+(14件×50%×20万円×50%)=120万円
※ 450万円(保険料節約分)−120万円(自己負担分)=330万円
つまり年間110万円がお得になると予想できます。
結果、この企業は保険料コストを下げたファンドを積立て、リスク対策・事故対策費
とすることも可能になります。
これは仮定・予想の話ですが実際にそれぞれの企業の実態の数字を当てはめれば
ある程度正確な予測が出来るはずです。
別に私が車両保険を憎んでいるとかそんなことはありません。
私の車も会社で自動車保険を契約していますが、会社と言っても零細企業ですから
車両保険に入っています。そうそう、体力がありませんからね。
ここではなぜ車両保険かという話ですが対人賠償・対物賠償は相手を選ぶことは
出来ませんよね。相手によりどんな高額賠償になるかわかりません。
しかし、車両保険は既にその価格がわかっています。その価格により企業の経営を
揺るがすほどでもない金額の場合は保険に頼る必要がないのです。
まして、車両保険価格と企業での帳簿価格も違いますよね。個人でも車が古くなって
くると、車両保険はもう必要ないと言って加入しない方もいるでしょう。
例えばそれは20万円以下かもしれません。
この時その人は20万円なら事故の際自己負担できるという判断をしている訳です。
それが企業になると体力によって200万円あるいは2000万円となるのです。
この体力が個人と企業とでは大分に違うところなのです。
なーんだ、そんなことかって思いました?でもまだ続きがあります。
次の方法も組み合わせてみると・・・・・・・
あなたの保険は万能じゃない!
事故が起きたら、後の対応は全て保険会社に任せておけば良いと思っていませんか?
どんな事故でも保険会社が相手と示談してくれるから安心だと思っていませんか?
ところがそうじゃないんです。
対人賠償については殆どの場合保険会社が対応してくれるでしょう。
しかし、対物事故はもしかすると違うかもしれません。
対人賠償は人身事故のときに使うっていうのはご存知ですね。
だから圧倒的に多いはずの物損事故で使うはずの対物賠償で示談してくれない
とするとこれは問題です。
しかし、今まではとりあえず対応していたかもしれませんが、保険のルールブック
と言える約款上は保険会社が示談代行できないものがあるのです。
それじゃ、なんのための保険だ!って言いたくなりますよね。
でもそうなんです。
だからこの事は事前に知っておかなくてはならないことなんです。
(最近は殆どが対物示談交渉付です!)
スムーズに事故解決できるものは、保険会社がうまく処理してくれます。
この場合相手も良い人?というかゴネたとして保険会社に対してで直接あなたにいろいろ言ってくるわけじゃないので、あなた自身は何事もなかったように生活が出来ます。
しかし、保険会社に示談交渉権がない場合だと相手が「保険会社じゃ話にならん」
なんて言って「直接あんたが話をしろ」となった場合、
あなたは「保険会社にまかせてあるのでそちらとお話ください」では通りません。
「保険会社になんの権利があるんだ。俺とあんたの問題だ!」これ、その通りなんです。(今は、保険会社が示談交渉をしてくれますが、当事者はあくまでもあなたです。
また、保険会社に任せてあると言っても、相手が執拗にあなたに電話なりをしてくる
場合は、警察に連絡することをおすすめしています)
保険料を安くするということは早い話、保険を掛けなければゼロですね。
これは先程の車両保険の話と同じです。
それじゃ対人無制限を1000万円にすると当然保険料は安くなります。
だけとこれは無謀ですね。ほかに保険料を安くする方法は
1.保険の対象物(この場合車ですが)自体の危険度が下がると安くなります。
良い例が(安全ボデー)とか
2.次は保険への依存度を下げるって方法もあります。
これは補償額の上限を下げるのは危険ですが、小さい損害は保険に頼らない
ようにすると良いわけです。
つまり一定額を自己負担する、保険で言うところの免責金額を設定することです。
すると当然保険料は安くなりますよね。
簡単な話、今対物賠償の免責金額がゼロの保険を5万円にしたらいくら安くなる?
ってこと。仮に20万円安くなる企業があったら年間4件の事故で免責負担が20万円
ですから、4件でちゃら、3件なら5万円お得ってことになります。
当然、査定なんかは保険会社にやってもらいます。
結果免責以下の事故なら保険は使えないよってことで自分で払えばいいだけ
のことです。
この免責は別に10万円でもいいですし、20万円の設定も出来る場合もあります。
ですから自社の保険料と年間平均事故件数とを見て、ベストな免責を選択することです。
今の話はフリート契約を前提としていましたが、ノンフリートならだいたい5万円以下の
場合保険使わないでしょ?
個人の自動車保険なら車両保険の免責が考えられますが結構免責ゼロとか
免ゼロ特約とかありますね。
あれも正確に計算していくと免ゼロと免責5万円の場合の保険料の比較をして、
何年に一度事故に遭うか考えて見ると、免責をつけた方がお得ってこともあります。
でも、個人なら何かあったら全て保険でって言う考えが強いから損得だけの問題には
なりずらいですけどね。
今の等級プロテクトと組み合わせると結構いいと思います。
でもね、保険料を保険会社(代理店かな)の言いなりにガバガバ払って、
「何かあったら頼むな!」なんていう時代じゃないですよね。
そう、ガバガバ保険料払える企業だってそうはないです。
だから、必要なもの必要じゃないものを見極めていかなくてはならないのです。
なんぼ保険料を1000万円も払ってるなんて言ってもデメ(割増契約)だと引き受けする保険会社も無くなってくると思いますよ。(現在、すでにそうかもしれません)
保険が無かったとしら普通の企業は恐ろしくて営業していられませんよね。
だから、まず事故を起こさないようにすることを真剣に考えていただきたいんです。
そうすれば保険料だって安くなっていくじゃありませんか。
そして、ムダを省いていく、そうするとどんどん保険料は安くなっていくのです。
保険会社はデメ契約を引き受けないけど、割引のある契約を出来るだけ保険料を
高くして引き受けたいってのが本音ですからね。
保険料を安くするのは彼らの仕事じゃないですから。
実はまだ方法があるんです!
最初の方で個人と企業の保険が同じじゃダメって書いたかな。
実はまだ安くする方法があるんです。
しかも、企業の保険には落とし穴があったりします。
当たり前に保険を加入しているが、それが仇になってしまう場合があります。
この仇になる部分を取り除きしかも保険料が安くなったりしちゃう方法があるんです。
社有車で事故がおきてしまいました。不幸にも従業員の方が死亡してしまいました。
お仕事中であればこれは当然労働災害事故となります。
しかし、労災事故は自動車事故ばかりじゃありません。
工場、現場、通勤途中、どこで労災事故は起きるかわかりません。
現場で作業中のAさんが高所から足を踏み外し転落、打ち所が悪く死亡してしまった。
これは労災事故ですね。Aさんには労災保険が支払われます。
営業中のBさんが社有車を運転中事故に遭い死亡してしまった。
これも労災事故です。Bさんには労災保険と企業が契約している自動車保険から
搭乗者傷害保険が支払われます。
はたしてこれで良いのでしょうか?
労災事故の原因によって受け取る金額が違うことに従業員のご遺族は納得して
くれるでしょうか?Aさんの遺族は「しかたがないわね」と納得してくれるのでしょうか?
これは最悪の場合、訴訟になる可能性もありますね。
企業が契約者となり従業員が被保険者となっている契約では、生命保険も損害保険も保険会社は企業からの保険金請求には応じられません。
数年前、企業が従業員を対象に団体生命保険に加入していて、労災事故が起き
企業は保険会社から保険金を受け取りました。
これを知った遺族はその保険会社と企業を相手取り裁判を起こしました。
遺族にしてみれば自分のご主人やお父さんの命に保険を掛けて会社が受け取ってしまうなんてなにごとだ!ってことになります。
そりゃ企業の言い分も十分わかりますよ。
しかし、結果裁判所がだした判決は「保険金を請求する権利は企業にはない」
というものでした。
この裁判がきっかけとなり企業は、生命保険、傷害保険の加入方法の見直しを
しなくてはならなくなりました。
生命保険では「団体定期保険」が「総合福祉団体定期保険」となり企業のニーズに対応していますが、傷害保険では搭乗者傷害保険を含め未だ対応ができていません。
企業としては保険会社の対応を待たずに対策を立てなくてはなりません。
今まで通りの契約を続けているとどんなトラブルに巻き込まれるかもしれません。
そのためきちっとしたリスク対策を練った自動車保険の加入方法が重要になってきます。(最近は不担保特約が増えました)
労働災害に対する補償には企業内にルールがあることと思います。
搭乗者傷害があるために社内で補償の差別をつけてしまうのは当然おかしな話です。
また、企業の「リスクメネジメント」を考えると、本来は労災原因によらず平等に
補償されなくてはなりません。
車両保険も、一定のルールに従い付保、未付保を決めていかなくてはなりません。
それは年式で決めるのか、金額で決めるのか、車種で決めるのか等があります。
まったくバラバラの契約をしていると、事故の際の対応、管理等が適切に行えません。
車両保険加入の社有車を運転しているものは、事故があっても保険で全て直るから
という油断から事故の発生率が高いかもしれません。
一方、車両保険未付保の車では慎重に運転するため事故率が低いことも考えられます。
私は、搭乗者傷害・車両保険を一概に悪いとは言いません。
ただ、ルールや考え無しに今まで通りに加入しているのは保険料のムダと
思わぬトラブルを引き起こすのです。
フリート契約者も今後、損害率・割引率の計算は厳しいものになっていくことは
間違いないでしょう。これからの保険料はリスクの低い人はより安く、
リスクの高い人はより高くなっていきます。
デメ契約などは引き受け先が無くなってしまうかもしれません。
そうなると企業は成り立っていきません。
自動車事故で従業員がケガをした、不幸にも死亡してしまった、
こんな場合企業としては当然お見舞金を出すことになります。
ただ、それは被害事故、加害事故、勤続年数、役職等によってその金額は
変わってくるのが普通ですよね。
企業が保険とは関係なく支払う場合はその調整は可能でしょうが、
搭乗者傷害保険などは一律の支払となってしまいます。
しかも、その支払は企業を通らず直接従業員やその家族に支払となり、
企業から手渡すということはできません。
つまり、ほとんどの保険が翌年の保険料に影響を与える保険金支払に
企業の思いが反映しないことになっています。
入社したばかりの従業員がスピードの出しすぎで対向車線に飛び出し、対向車の
トラックに衝突、死亡しました。これは当然ニュースになります。
企業イメージを低下させ、相手の損害も大きいので対物も高額賠償となるでしょう。
自動車保険の損害率もぐっと上がります。搭乗者傷害保険を遺族は請求しました。
保険会社は直接遺族に保険金を支払います。これも損害率に影響してきます。
30年勤務し会社への貢献度も高かった従業員が被害事故で亡くなりました。
この従業員も先程の新入社員と同じ搭乗者傷害が支払い出来ます。
この二人に同じ金額が払われるのは企業として良いのでしょうか?
そう実は、当たり前と思って加入している保険にはこんな矛盾があったのです。
それに気づかず保険料を払い続け、万一の事故が起きてしまい、しかも遺族から訴訟を起こされるなんて寝耳に水でしょう。
たまったものじゃありません。
だから、気をつけて保険に加入しなくてはいけないのです。
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